業績 ‐ Accomplishments
三浦 勲
日本の データベースビジネス の先駆者
研究分野:情報産業・情報流通 元実践女子短期大学教授 *
日本の データベースビジネス の先駆者
研究分野:情報産業・情報流通 元実践女子短期大学教授 *
1972年から欧米の著名な学術データベースの情報検索サービス業に従事
1978年にはオンラインによる学術・ビジネスの専門情報提供に携わる
これらバッジモード・オンラインモードによる情報検索サービスは日本で初のサービス
1978年にはオンラインによる学術・ビジネスの専門情報提供に携わる
これらバッジモード・オンラインモードによる情報検索サービスは日本で初のサービス
㈱紀伊國屋書店洋書部に勤務して10年目の1971年にコンピュータによる学術情報検索サービスの開始を提案し、自ら出張し米国の主要な学術情報機関と交渉・契約し日本でのサービスを実現した。サービス名称は ASK (Alerting-search Service from Kinokuniya) で、主要なデータベースは米国化学会 (American Chemical Society)、米国電気電子工学会 (IEEE)、ISI社、米商務省、米国物理学協会 (American Institute of Physics) などが制作に関わるものであった。当時は「ソフトウエアの話」という啓蒙書がベストセラーになるような時代であり、民間の一書店がコンピュータを導入して、主要先進国では政府が行っていた情報検索サービスを開始したことが世間を驚かせた。 |
ASKサービスを当初から支えた同僚と。右より荒井幹夫氏、根本勝弥氏、三浦、高橋真一氏
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右:Citation Indexの創始者 ISI の Eugene Garfield社長***
中央:マニュアルなどの翻訳・各種セミナーの通訳で支援してくれた 藤川正信氏(後に図書館情報大学長)**** 1980年以降、ドイツ・フランス・EUなどのデーターベースサービス機関とも契約し日本でのサービス利用を可能にした。さらに情報技術の進歩によりオンラインではなくスタンドアロンのパソコンで回線使用料なしで同等の検索を可能にしたCD‐ROMというメディアも実現した。当時としては画期的な学術雑誌のフルテキストサービスのADONIS (オランダ) も登場し、米国の最大手CD-ROM制作会社の SilverPlatter Information社のCD-ROMと合わせて独占的にサービスの提供も行った。一方、当時パソコン市場を独占的に支配していたNEC (日本電気) と共同で朝日新聞記事全文やOxford English Dictionary (OED) のNEC-PC 対応版を開発・発売し好評を博した。
ニューヨークの国連本部前で鈴木文雄氏 (左) と
因みに、当時日本の大学図書館の地位は欧米に比べ極めて低いと言われていたこともあって、契約関係にあった英国図書館(British Library) の研究開発部と「大学図書館の将来―日本の図書館経営変革の好機―」というマルチクライアント調査研究を行った。この調査研究に当たった英国側のメンバーは、ケンブリッジ大学の元副学長で高名な数学者でもあった人物を主査として、ウエストミンスター大学の情報通信研究センターの研究員、後に英国図書館の館長になったライブラリアンなどであったが、日本側は図書館情報大学など大学で教鞭をとる教授・助教授等であった。この事実は、彼我の図書館というものに対する社会的な認識の隔たりを如実に表すものであった。 |
このサービスはいわゆるバッジによる検索サービスであったが、米国ではすでにオンラインによる対話形式のサービスが始まっていた。この紀伊國屋での事業は一種の企業内起業によるものといえるが、1978年には米国のオンライン情報検索サービス大手二社を訪問しそのうちの一社、Lockheed Missiles and Space社と交渉・契約し、日本でDIALOG** というサービスを開始することとなった。実に、日本は通信規制などにより欧米に比し10年遅れでのスタートだった。日本でオンラインネットワークが公認されたのは1980年であったので、それまではテレックスと専用回線でシステムとユーザーは結ばれていた。
右よりDIALOGシステムの創始者Roger.K.Summit氏、紀伊國屋書店松原社長、左端三浦
学術専門情報とは異なるが世界最大のオンライン・カタロギング・サービス提供機関のOCLC (Ohio Computer Library Center) と1986年に日本でサービスを行う単独契約を行った。図書館では図書・資料の分類は第一義の業務であり、1冊の図書の分類に数時間かかることもあるといわれ、ライブラリアンにとって専門度の高い業務である。しかし、このサービスは最初にどこかの図書館員が分類作業を行いシステムに登録すると、二人目からはオンラインでそれを利用できるので大変な時間の節約ができた。特に、日本の図書館員にとって洋書の分類は高度の知識を要するので、このオンラインサービスは大学などの図書館にとって必要不可欠なサービスであった。なお、以上の海外情報サービスの契約交渉及び契約締結は、当初から国際ビジネスコンサルタントの鈴木国際事務所 鈴木文雄氏 (故人) の力に負うところが非常に大きかった。 OEDのCD-ROMパッケージ
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1985年には、日本で初のデータベース業界団体「日本データベース協会」の発足に尽力し、理事に就任。以来、ビジネス活動に加え情報技術協会・情報知識学会・学術著作権協会などの学協会活動も行い、1996年からの情報ビジネスコンサルタントを経て2000年に実践女子短期大学の教授に就任した。
* researchmap 三浦 勲 Isao Miura
** DIALOGに関する情報 DIALOGシステムの創始者Roger.K.Summit氏 Wikipedia English
*** Citation Indexの創始者 ISI のEugene Garfield社長
****図書館情報大学長、藤川正信氏
* researchmap 三浦 勲 Isao Miura
** DIALOGに関する情報 DIALOGシステムの創始者Roger.K.Summit氏 Wikipedia English
*** Citation Indexの創始者 ISI のEugene Garfield社長
****図書館情報大学長、藤川正信氏
<著 書>
『オンライン情報サービスの現状と展望』(NIPDOCシリーズ24)の「ASK-RSサービス」執筆、㈳日本ドクメンテーション協会、1972・11(共著)
『科学技術ハンドブック』(改訂版)の「商用オンラインシステム」執筆、㈵日本科学技術情報センター、1982・3(共著)
『データベース白書1988』の「電子出版とは」執筆、㈶データベース振興センター、1988・3(共著)
『世界CD-ROM総覧』の「CD-ROMの流通と販売」執筆、ペンローグ社、1990・1
『大学図書館の将来』の概要 英国図書館研究開発部長Dr. Brian J. Perry と共同執筆、㈱紀伊國屋書店、1993.9(共著)
『データベース白書2000』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2000・5(共著)
『データベース白書2001』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2001・5(共著)
『データベース白書2002』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2002・5(共著)
『第42回大学図書館司書主務者研究報告書』の「データベースサービスの現状-大学図書館の利用をめぐって-」執筆、2003・2(共著)
『白書出版産業』の「データベース・ビジネス」、「複写権と著作物流通」執筆、文化通信社、2004・5(共著)
『東京経済大学コミュニケーション学部開設十周年記念シンポジウム(日本出版学会共催)予稿集:コミュニケーションとしての出版』の「大学における出版編集教育-実践女子短期大学のケース‐」執筆、東京経済大学・日本出版学会、2006・10
『出版研究37』の「大学における出版編集教育」執筆、出版ニュース社、2007・3
『データベースサービス業の誕生と展開ー1970 年代に出版界で起こった奇跡の物語』 出版メディアパル、2021.11
『オンライン情報サービスの現状と展望』(NIPDOCシリーズ24)の「ASK-RSサービス」執筆、㈳日本ドクメンテーション協会、1972・11(共著)
『科学技術ハンドブック』(改訂版)の「商用オンラインシステム」執筆、㈵日本科学技術情報センター、1982・3(共著)
『データベース白書1988』の「電子出版とは」執筆、㈶データベース振興センター、1988・3(共著)
『世界CD-ROM総覧』の「CD-ROMの流通と販売」執筆、ペンローグ社、1990・1
『大学図書館の将来』の概要 英国図書館研究開発部長Dr. Brian J. Perry と共同執筆、㈱紀伊國屋書店、1993.9(共著)
『データベース白書2000』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2000・5(共著)
『データベース白書2001』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2001・5(共著)
『データベース白書2002』の「世界及びアメリカの動向」執筆、㈶データベース振興センター、2002・5(共著)
『第42回大学図書館司書主務者研究報告書』の「データベースサービスの現状-大学図書館の利用をめぐって-」執筆、2003・2(共著)
『白書出版産業』の「データベース・ビジネス」、「複写権と著作物流通」執筆、文化通信社、2004・5(共著)
『東京経済大学コミュニケーション学部開設十周年記念シンポジウム(日本出版学会共催)予稿集:コミュニケーションとしての出版』の「大学における出版編集教育-実践女子短期大学のケース‐」執筆、東京経済大学・日本出版学会、2006・10
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『データベースサービス業の誕生と展開ー1970 年代に出版界で起こった奇跡の物語』 出版メディアパル、2021.11
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