「BOOK」データベースについて データベースビジネスに関しての紀伊國屋書店松原氏のもう一つの功績は BOOK データベースの構築の実現であった。図書館書誌データ提供会社の日外アソシエ―ツ社長大高利夫氏のアイデアを基に、紀伊國屋書店・トーハン・日販・日外アソシエーツの四社でコンソーシアムを組み、書籍の書誌データに加え本の要旨・目次・小説はそのあらすじを持つ図書内容情報のデータベースが生み出された。当時、取次大手のトーハンと日販が共同で事業を行うなどは業界の常識ではありえないことであったが、紀伊國屋書店松原氏の音頭取りで実現された。このデータベースは、取次に入荷し書店に配本する前に本の目次・内容部分を現場でコピーし即日データベース化された。当時で一日270冊、年間6万冊が入力されていた。BOOKデータベースは現在も日外の BOOKPlus, AMAZON のオンラインサービスで利用できる。 データベースの構築は1986年より開始され、1988年には「ブックページ本の年鑑」という冊子体でも刊行された。図書館などがない過疎地でもこの一冊があれば本の出版情報が得られるとの願いもあった。私はこれら四社の取りまとめと事務局、年鑑の発行人として関わっていた。 |